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千手川護岸整備計画

千手川護岸整備計画 Senzu River Shoreline

 

    計画地付近は、山々の自然がそのまま平野部、田畑へと連続的に広がっている。その中を流れる千手川もまた穏かで、水位も平水時で0.11mほどと子供達が水遊びするには適度な状態である。洲の部分には植物が生え、河床にも堆積物が多い。近辺の流域において特に親水空間が設けられてはいない。主に左岸側に民家が多く、右岸側は水田を経て丘が続いている。左岸側に比べると右岸側の道路の交通量は多く、右岸側に立つ3本の柳の木が計画地の目印となっている。しかしそのため九郎原橋につながるカーブの見通しが悪い。またこの九郎原橋の袂では、鴨が放し飼いにされている。

 

    本河川流域でこの地域には親水空間がないことから、本計画地を身近な親水空間として整備する。また、この部分に周辺環境と全く異なる状況を挿入するのではなく、穏かでなだらかに連続していく山々や丘、田畑などからなる緑と、水空間が形成している景観を計画地に延長させていくことを念頭に計画していく。同時に堰の設置、護岸の整備など新たに出現する構造物はあくまで人工的な存在であるが、本計画ではそれらが自然を模倣するのではなく、人間が意図をもって構築した人工物が自然環境と向き合うあり方をつくり出していく。このことは、河川の水によって農業が支えられているように、自然の刻一刻と変化する様相が人間の営みに深く、関わっていることを間接的、視覚的に示すことでもある。従って自然という未だ人間が完全に解き明かす事が出来ない力に対して、それを想定し構築した環境に変化がおきた場合にも、その変化を積極的に受け入れる計画を行なうものとする。

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