台中展覧会
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Taichung Exhibition
『Crystallization 結晶化』ーfrom fluid to solid 液体から個体へー
2012年12月-2013年1月
台中,台湾
人は誰しも海を持っている。イマジネーションや夢の源という海を。
さまざまな生命が自由に漂う、広くて豊潤な世界を。
明るい浅瀬や深い海溝、満ち引きや波の立つ、
混ざりあったり漂ったりする生き生きとしたfluid(液体)のような世界を。
私は自分の海を、かたちあるもの、すなわちsolid(固体)にする仕事をしている。
橋、道、公園、集合住宅、商業施設、バス、家具・・・
この20年間、人々が暮らす環境を、支え、包む、さまざまなものをかたちにしてきた。
なかでも集合住宅は、たくさん手がけてきた。
振り返ってみれば、ひとつひとつ、場所やスケールが異なるのだが、
いつも共通して考えてきたことがある。
それはまるで、いくつかの同種の液体が、
ブレンドを変えながら固まって出来てきたようだ。
そして今、それらsolid のなかにたくさんの人々が暮らしている。
ではfluid をsolid にする方法はといえば、建築の場合、
冷凍や薬品を垂らす代わりに、長い思考のプロセスが必要だ。
そしてそこにこそ、私が建築という仕事をしている意味があると思う。
この展覧会では、fluid がsolid へと変化していくプロセスをお見せしたい。
そしてこの地に近い将来完成するプロジェクトが、
世界にたった一つの建物としてどう結晶化していったのかを。
結晶化といえば、それは私の事務所名の由来にも関わっている。
自らの方向性をもつ多くの要素が、それぞれの方向性を保ったまま、
力を及ぼし合って安定に存在する物質の状態を、物理の世界ではスピングラスと呼ぶ。
固まってしまった安定ではなく、明確な方向性をもつ異なる能力が、
協力してつくる動きのある安定は、私とともに建築に関わるチームに求める状態であり、
それがもうひとつのsolid である。